手頃な価格で実用的な「ハンカチ」は、ちょっとした贈り物として多くの人に選ばれています。
しかしその一方で、「ハンカチを贈るのは縁起が悪い」「失礼にあたることがある」といった話を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか?
この記事では、ハンカチを贈ることが本当にマナー違反なのか、その背景にある文化的な意味や考え方について詳しく解説します。
さらに、避けたほうがよい色の選び方や、海外におけるハンカチギフトの受け取られ方についてもあわせてご紹介します。
ハンカチの贈り物は控えるべき?知られざる理由と背景
上品で実用的なアイテムとして人気のあるハンカチですが、実はプレゼントとしては避けたほうがよいとされる場面があるのをご存知でしょうか?
その背景には、古くからの言い伝えや文化的な意味合いが関係しています。
ここでは、ハンカチを贈り物に選ぶ際に注意したい理由を詳しく解説します。
1. 別れを連想させるアイテムとされているから
ハンカチは英語で「handkerchief」といいますが、日本では古くから「手巾(しゅきん)」とも呼ばれてきました。
この「手巾」を訓読みすると「てぎれ」となり、「手切れ=縁を切る」という言葉を連想させるため、贈り物としては縁起が悪いとされてきたのです。
そのため、「ハンカチを贈る=お別れの意味」と受け取られてしまうこともあり、相手との関係性によっては誤解を招く恐れがあります。
2. 親しすぎる印象を与えることもある
ハンカチは日常的に使う身近なアイテムだからこそ、贈り物として受け取った相手が「特別な関係を意識しているのでは?」と感じることもあります。
場合によっては、やや思わせぶりな印象を与えてしまい、人によっては戸惑いや警戒心を抱かせてしまう可能性も。
たとえば、ネクタイやアクセサリーを恋人に贈るような感覚に近く、「もしかして好意があるのかも」と深読みされてしまうこともあるのです。
テレビドラマに例えるなら、「付き合っていることをほのめかしている」「気になる相手に特別感を演出している」といった印象を与える場面もあるでしょう。
3. 実は困ることも?定番すぎるハンカチの贈り物
ハンカチは日常的に使うアイテムですが、意外と家庭内にたくさんあるものです。
特に実家暮らしや家族と同居している方は、すでに十分な枚数を持っている場合が少なくありません。
また、ハンカチは洗って繰り返し使えるため、頻繁に買い替える必要もなく、長年同じものを使い続けている方も多いでしょう。
そのため、「1枚くらいなら嬉しい」と思われがちですが、実際には「もう収納に入りきらないほどあって困る」という声も聞かれます。
さらに、あまりに定番すぎるがゆえに、「無難だからって、あまり考えずに選ばれたのかな」と受け取られてしまうことも。
近年では気軽なプチギフトとして定着したアイテムですが、それだけに“印象に残りにくい”“ありがち”と感じる人も一定数いるのかもしれません。
プレゼントに避けたいハンカチの色とは?
白いハンカチを贈る際は注意が必要です。
日本では、亡くなった方の顔に白布をかける風習があることから、真っ白なハンカチは「お別れ」や「死別」を連想させることがあります。
そのため、人によっては白色のハンカチを不吉に感じることもあるのです。
特に無地で装飾のない白いハンカチは、贈り物としては避けた方が無難でしょう。
一方で、レースや刺繍などが施され、デザイン性のある白いハンカチであれば、そういったイメージを和らげることができ、ギフトとして問題ないとされる場合もあります。
海外でハンカチを贈るのはマナー違反?国ごとの文化的な意味をチェック
中国ではハンカチは「縁を切る」象徴に
中国では、ハンカチを贈る行為が「別れ」や「関係を断つ」といった意味を持つとされており、贈り物としては避けるのが一般的です。
とくに年配の方や伝統を大切にする相手には、無神経な印象を与える恐れがあるため注意が必要です。
台湾では弔事を連想させるためNG
台湾では、ハンカチやタオルが葬儀の香典返しとして使われることが多く、日常的なプレゼントには不向きとされています。
悲しみや死を連想させるため、贈り物に選ぶのは避けたほうが無難です。
韓国では涙や別れの象徴とされる
韓国においても、ハンカチは「涙をぬぐうもの」として、別れや悲しみと結びつけられるアイテムです。
たとえ親しい相手であっても、プレゼントとして渡すのは失礼にあたる可能性があり、控えるのがマナーとされています。
フランスでも「涙の象徴」として避けられることも
フランスでは、ハンカチが「悲しみ」や「別れ」を連想させるアイテムとされており、贈り物としてはあまり好まれません。
涙をぬぐうための布という性質から、感情のこもった場面や別れのシーンを想起させるため、プレゼントには適さないと感じる人が多いのです。
イタリアでもプレゼントに向かないとされる理由
イタリアにおいても、ハンカチは「涙を拭くもの」としてのイメージが強く、贈り物としてはあまり歓迎されない傾向があります。
感情のこもった別れや哀しみの場面と結びつけられることが多いため、大切な人へのプレゼントとして選ぶには注意が必要です。
アメリカでは実用性の面で不向きな一面も
アメリカでは、ハンカチを日常的に使う文化があまり根付いていません。
多くの公共施設ではペーパータオルやエアドライヤーが設置されており、ハンカチの使用機会が少ないこともあって、取り扱いのない店舗も多く見られます。
そのため、アメリカ人にハンカチを贈る場合は、「どう使うものか」をひと言添えると親切です。
また、企業名やブランドロゴが大きく入ったデザインは販促品と勘違いされる可能性があるため、選ぶ際には注意しましょう。
どんな場面・どんなハンカチなら贈り物にふさわしい?
気心の知れた相手へのさりげないギフトに
価格が控えめでシンプルなデザインのものを選ぶのがポイントです。
気軽に贈り物を交わせるような親しい友人には、ハンカチは負担の少ない贈り物として最適です。
たとえば、誕生日プレゼントに添える品や、ちょっとした「ありがとう」の気持ちを伝えるプチギフトとしてぴったりでしょう。
相手が気を遣わずに受け取れるような、実用性が高くカジュアルなタイプを選ぶことで、好印象につながります。
異動・退職する先輩や同僚への贈り物に
送別の場でハンカチを贈るなら、「別れの象徴」とされる意味合いも踏まえた、丁寧なセレクトが大切です。
落ち着いた色合いや洗練されたデザイン、さらには上質なブランドものなど、品のある一枚を選ぶと、感謝の気持ちがより伝わります。
なかでもタオルハンカチは、実用性の高さはもちろん、「糸と糸が縁を結ぶ」という象徴的な意味を持つため、別れの場面にもふさわしい贈り物として人気があります。
バレンタインやホワイトデーの贈り物として
恋人同士の特別なイベントであるバレンタインやホワイトデーにハンカチを贈るなら、やはり“相手のために選んだ”と伝わる特別感のある一枚を選びたいところです。
実は、中世ヨーロッパでは恋人たちがハンカチを贈り合う風習があったとも言われており、ちょっとロマンチックな贈り物でもあります。
相手の好みに合った色や素材、上質さを感じるデザインを選ぶことで、想いがより深く届くはずです。
まとめ
かつてハンカチは、「別れ」や「縁を切る」といった象徴的な意味を持つとされ、贈り物としては敬遠されることもありました。
こうした考え方は日本だけでなく、海外の一部の国々にも共通して見られるようです。
しかし現代では、ハンカチは実用的で手軽に贈れるアイテムとして、多くの人に親しまれています。
とはいえ、日常的に使う身近なものだからこそ、相手によっては深読みされたり、思わぬ誤解を招くこともあります。
ハンカチを贈るときは、相手との関係性やシーンをよく考慮し、気持ちの伝わる一枚を選ぶことが大切です。