「てんやわんや」という言葉を聞いたことはありますか?
日常生活ではあまり使わないかもしれませんね。
この言葉の意味や由来をよく知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「てんやわんや」の意味を詳しく解説し、その由来や具体的な使い方までご紹介します。
どんな場面で使うのが適切か、例を挙げてわかりやすく説明しますので、ぜひ最後までお読みください。
「てんやわんや」の意味とは?
「てんやわんや」は、「たくさんの人が騒いで混乱している様子」を表す言葉です。
大勢の人が秩序なく動き回り、ごった返すこと。また、そのさま。「宴会の準備で台所は—だ」
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「てんやわんや」の意味|goo辞書
辞書でもこのように説明されています。
またgoo辞書によると、昔、「てんやわんや」というタイトルの小説があったそうです。
1948年から1949年にかけて「毎日新聞」で連載された小説です。
(のちに映画化もされています)
この小説のおかげで、「てんやわんや」という言葉が広まったみたいですね。
「てんやわんや」のさまざまな使われ方
「てんやわんや」を検索すると、意外なところでこの言葉が使われているのがわかります。
高松市にある焼き鳥屋です。
高温の炭火で一気に焼き上げた焼き鳥を提供しています。
その美味しさは「言葉を失うほど」だとか。
楽曲のタイトルです。
VTuberグループ「にじさんじ」のメンバー、月ノ美兎、笹木咲、椎名唯華が歌っています。
子ども向けの本のタイトルです。
「食べられるえんぴつ事件」「消えたムッシュ」「愛よかがやけ」という三つのお話が収録されています。
戦後に活動していた漫才コンビです。
二人の名前を合わせると「てんやわんや」になります。
その他にも、十和田市のラーメン店「麺屋てんやわんや」など、この言葉にちなんだ名前の店や商品がいろいろあります。
「てんやわんや」の由来
「てんやわんや」という言葉がどのように生まれたのか、その起源にはいくつかの説があります。
ここでは、主な説を詳しく見ていきましょう。
(2)「手に手に(てんでん)」と「わや」が組み合わさったもの
(3)「手々(てんで)我々(われわれ)」が変化したもの
それぞれの説を順に解説していきます。
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「ていやわいや」から変化した説
この説は上方語源辞典に載っています。
「ていや」は「各々(おのおの)」という意味で、「わいや」は「賑やかに盛り上がっている様子」を表します。
この「ていやわいや」という言葉が徐々に変化して、「てんやわんや」になったと考えられています。
「手に手に(てんでん)」と「わや」が組み合わさった説
多くの辞書やネットで紹介されているのがこの説です。
この説では、「てんや」は「手に手に(てんでん)」から来ており、「それぞれ」という意味を持ちます。
一方、「わんや」は「わや」や「わやく」が元になっていて、「むちゃくちゃ」という意味になります。
これらの言葉が一緒になって「てんやわんや」という表現ができたと考えられています。
「手々(てんで)我々(われわれ)」から変化した説
この説は俚言集覧という辞書に載っています。
「手々(てんで)我々(われわれ)」とは、「みんながそれぞれ『自分が!』『自分が!』と主張して騒がしくなる様子」を表します。
これが変化して「てんやわんや」になったとされています。
参考:新明解語源辞典
「てんやわんや」の使い方例
「てんやわんや」をどのように使うか、具体的な例文で見てみましょう。
(2)最近の騒動で、オフィスはてんやわんやになってしまった。
(3)ある報道がきっかけで、株主総会がてんやわんやの大騒ぎに。
(4)いろんな問題が一気に起こり、会議はてんやわんやだった。
これらの例から、「大勢の人が混乱して騒ぎ立てる様子」を表すときに、「てんやわんや」が使われることがよくわかります。
では、それぞれの例文の状況を簡単に説明しますね。
(2)何らかの騒動でオフィス内が大混乱に。
(3)ある報道を受けて、株主総会が非常に騒がしくなった様子。
(4)いろんな問題が同時に起こり、会議が混乱状態に。
これで、「てんやわんや」の使い方がなんとなくわかっていただけたかと思います。
「てんやわんや」と似た表現
「てんやわんや」に近い意味を持つ表現をいくつか紹介し、それぞれの違いを見ていきます。
(「大騒ぎ」「大パニック」「揉め事」なども似た表現ですが、メジャーすぎるので割愛します)
ここでは次の5つの表現を見ていきます。
(2)火事場のような騒ぎ
(3)やっさもっさ
(4)しっちゃかめっちゃか
(5)蜂の巣をつついたような騒ぎ
これらの表現がどんな状況で使われるか、これから詳しく説明していきます。
上を下への大騒ぎ
「うえをしたへのおおさわぎ」と言います。
上と下が入れ替わりそうなくらい、ごちゃごちゃになって混乱する様子を表します。
「てんやわんや」と似たような状況ですね。
最近は、「上や下への大騒ぎ」と言い間違いされることもあるようです。
火事場のような騒ぎ
「かじばのようなさわぎ」と言います。
火事が起きたときのように人々がパニックにおちいる様子を表します。
こちらも「てんやわんや」と似た状況ですよね。
やっさもっさ
「やっさもっさ」は、大勢の人が集まって大騒ぎしたり、もめたりする様子を表します。
この言葉の起源は平安時代にまでさかのぼります。
平安時代の神楽歌「きりぎりす」に、「おっさまっさ」という言葉が出てくるんです。
この「おっさまっさ」が変化して「やっさもっさ」になったそうです。
鹿児島弁ネット辞典にも、この言葉が載っているんですよ。
しっちゃかめっちゃか
「しっちゃかめっちゃか」は、物事が混乱したり、めちゃくちゃになったりしている状況を指します。
これも「てんやわんや」と似たような場面で使えます。
例えば、「彼がプロジェクトに加わったせいで、計画がしっちゃかめっちゃかになった」といった具合です。
蜂の巣をつついたような騒ぎ
「はちのすをつついたようなさわぎ」と言います。
大きな騒動が起きて手に負えなくなる様子を表します。
文字通り、蜂の巣をつついて、蜂が一斉に飛び出してくるようなイメージですね。
これも、「てんやわんや」と同じ文脈で使えます。
「てんやわんや」の意味、由来、使い方まとめ
この記事では、「てんやわんや」の意味や由来、使い方、そして似た表現について詳しく解説しました。
由来にはいくつか説がありましたが、特に「手に手に(てんでん)」と「わや」が組み合わさった説が有力です。
「てんやわんや」はあまり日常会話では使わない言葉ですが、いつかまた目にする機会があるかもしれません。
そのときに思い出せるよう、ぜひこの記事の情報を頭の片隅にでも残しておいてくださいね。